散骨とは、通常、故人の遺体を火葬した後に、その焼かれた骨を、海、空、もしくは山中などに撒く行為を指します。
いわゆる散骨というのは、1つの葬送方法の中の種類として数えられるもので、最近ではこの形態を取る人も少なくありません。
埋葬に関しては、日本においては、それに類する手続が定められていますが、散骨には特別な法律規定はありません。
墓地、埋葬等に関する法律の中で、通常の方法以外には、特段の規制をしていないので、散骨に対する規定は存在しません。
葬送の自由として、散骨を解するとしても、公共の福祉による制約があることは論を待ちません。
散骨は、決まった規定がないことから、法曹関係者の間では様々な見解が持たれていました。
刑法は死体遺棄、死体損壊罪を規定するものですが、散骨の場合、国民の宗教感情を考慮すると、こうした葬法を素直に認めることは難しいと言えます。
つまり、散骨を即座に社会的に認めるというのは困難なことで、この葬法が死体を悼む目的であっても、刑法上の構成要件を否定できないなら、刑事責任も問われかねません。
北海道、長沼町での散骨場をめぐるトラブルもあったとから、この葬法というのものが、物議をかもしているのは事実です。
ただ、当然ですが、散骨をするにあたっては、港湾や漁場、養殖場のある場所では、避けなければなりません。
つまり、そうした問題が散骨にはあるので、それをする人がわずかであっても、キチンとした場所の指定や管理方法が必要になってきます。
例えば、陸地で散骨をする場合などは、他人の私有地では、それ無断ですることはできません。
公有地については散骨についての取り決めはないのですが、近隣から苦情が出る可能性は大いにあります。
墓地を持たない自然葬の形が散骨になりますが、見た目に明らかに人骨と分かるものは、絶対に撒いてはいけません。