ホスピスの基本はQOL、Quality Of Life(クオリティー・オブ・ライフ)にあります。
QOLというのは、個々が持つ人生の質感と社会的質感の事で、ある意味、一個人の幸福のバロメーターとも言えます。
もっと分かりやすく言えば、一人一人がどれだけ自分らしく生きられるかというもので、正しくホスピスが意とするところなんですね。
ですから、全ての患者さんのQOLを追求し、いかにその人の人生の最後をその人らしく終わらせて上げられるか。
これこそがホスピスのスタッフが求める、そして求められるQOLでもあります。
とは言え、人生観というのは、長い長い時間の中で築き上げられて来たものですから、それを短期間で理解する事は並大抵の話ではありません。
やはりホスピスのスタッフにとって最も大切な事は、心と心で付き合い、個人のQOLを極めて行く事なんだろうと私は思います。
ホスピスへの入院を希望する人が増えた昨今、それだけ人生の終幕に対する考え方が変わって来たという事にはなるでしょう。
そして、それ以前に、私たち日本人のQOLそのものが大きく変化して来ています。
ホスピスに入れる事が本当に自分たちのQOLを高める事にはならないだろうとも思うんですね。
愛する人の死を謂わば黙認する訳ですから、それが自分らしい人生であるはずがないだろうと考えるからです。
ここにホスピスとQOLの持つ微妙な関係があるのではないでしょうか。
ホスピスで自分らしく、即ちQOLを大切にした人生の最期を迎える。
ましてや、自分ではなく家族をホスピスに入れるかどうかとなると尚更の事、QOLが揺らぎます。
とにもかくにも、今の時代、人生の終幕を考える事が一つのライフスタイルにもなっています。