まず、iPS細胞のメリッとして挙げられるのは、倫理的な問題が少ないということが指摘されています。
iPS細胞とよく対比されるのがES細胞で、この細胞は万能と注目されてきたのですが、受精卵を壊して作ることから、実用化が懸念されていました。
そんな中、iPS細胞は、そうした障壁を乗り越えることができるメリットを有しているのです。
ES細胞は、作成するのに難点があることから、アメリカでも研究に連邦予算をつけることを避けています。
日本でもES細胞研究は、厳しく制限されていて、iPS細胞と違ってかなり敬遠されている状況です。
iPS細胞の研究は、受精の瞬間を人の誕生と捉えているイタリア人でさえも推進しています。
患者本人の細胞から作成することができるiPS細胞は、拒絶反応の心配がないという大きなメリットがあります。
患者本人の遺伝情報をもたないES細胞は、拒絶反応が避けられないので、これはiPS細胞ならではのメリットと言えます。
これを回避するには、iPS細胞と違い、卵子に患者の皮膚細胞などの細胞核を入れたクローン胚を作成する必要があったのです。
クローンES細胞は、クローン人間づくりにつながる恐れが懸念されていて、iPS細胞とは反対に、多くの国が作製を制限しています。
iPS細胞の研究は盛んで、世界初のクローン羊を誕生させたイギリスの大学でも、その研究に着手しています。
既に分化した体細胞から作れるのがiPS細胞のメリットで、患者本人の細胞から作ることができます。
患者本人からiPS細胞を作れるということは、再生医療などに用いる際、移植の拒絶のリスクはまずありません。
iPS細胞の出現で、再生利用の夢が大きく広がりましたが、実用化までにはまだ10年以上はかかりそうです。