2025年11月27日、女優・中島ゆたかさんが73歳でこの世を去ったというニュースが流れました。
昭和映画ファンはもちろん、近年は純烈主演映画「スーパー戦闘 純烈ジャー」シリーズで知ったという人も多いはず。この記事では、純烈メンバーが寄せた思いに触れながら、中島さんの出演ドラマ・映画の魅力を、私なりの目線で振り返っていきます。
中島ゆたかさんと純烈 「純烈ジャー」で結ばれた縁
まずは、ここ数年で一気に距離が近くなった「純烈」とのご縁から。
中島ゆたかさんは、純烈が主演を務めた映画「スーパー戦闘 純烈ジャー」(2021年)と続編「スーパー戦闘 純烈ジャー 追い焚き☆御免」(2022年)に、温泉の女神・青のオフロディーテ役で出演しています。映画作品としては、このシリーズが最後の出演作になったと報じられています。
役どころは、“青い袴の巫女服をまとった温泉の女神”。劇中では、小田井涼平さんと一体となって「純ブルー」に変身するという、特撮ファン的にもおいしいポジション。女神らしい気品と、どこかチャーミングな雰囲気のギャップがたまらないんですよね。
純烈リーダーの酒井一圭さんは、公式Instagramで「現場で控えめに、はにかみながら共演者と話していた姿が印象的だった」といった内容の追悼コメントを投稿し、中島さんが作品に与えてくれた“気品と重厚感”への感謝をつづっています。
共演者側からのこういう言葉を聞くと、「画面越しでも伝わっていたあの雰囲気って、やっぱり現場でも同じだったんだな」と、妙に胸が熱くなります。
《ここに純烈公式X(旧Twitter)のアカウント、または酒井一圭さんの追悼ポストを埋め込んでください》
また、酒井さんは「タイミングが来たら三度、純烈ジャーを…」とも語っていて、第3作の構想も頭の中にはあった様子。
もし実現していたら、青のオフロディーテがどんな形で戻ってきてくれたのか…と、つい“if”を想像してしまいます。
ミス・パシフィックから東映のヒロインへ 中島ゆたかさんの輝き
ここで改めて、中島ゆたかさんの歩みをざっくりおさらいしておきます。
中島さんは1952年10月5日生まれ、茨城県水戸市出身。1971年にミス・パシフィック日本代表に選出され、世界大会では第2位という華々しい経歴の持ち主です。
その後、1973年公開の「夜の歌謡シリーズ 女のみち」で映画デビュー。同年には日本映画プロデューサー協会新人賞、翌年にはエランドール賞新人賞を受賞し、一気に注目の若手女優に。千葉真一さん主演の「激突!殺人拳」「直撃!地獄拳」など、アクション色の強い作品でヒロインを務め、凛とした美しさとどこか影のある雰囲気で存在感を放ちました。
そして何と言っても外せないのが、菅原文太さん主演の人気シリーズ第1作「トラック野郎 御意見無用」でのマドンナ役。ここでの中島さんは、シリーズの“伝説の初代ヒロイン”として今も語り継がれています。
トラックの男臭い世界の中にすっと立つ、爽やかで凛としたヒロイン。昭和の邦画って男性中心の世界が多いのですが、そこに中島さんがいるだけで画面の温度がスッと整う感じがあるんですよね。
70年代後半以降は、2時間ドラマや時代劇でも大活躍。サスペンスではミステリアスな女性、時代劇では着物姿の粋なお姉さん…と、“きれいなお姉さんだけど何かありそう”な役どころを、絶妙なニュアンスで演じていました。
さらに近年は、「富江 re-birth」のようなホラー作品にも出演し、妖しい色気をまとった大人の女性像を披露。年齢を重ねても“ただのいい人”におさまらない、いい意味でクセのある存在感は、昭和から令和までずっと一貫していたように感じます。
闘病しながらステージへ 最後まで女優であり続けた姿
報道によると、中島さんは3年前に大腸がんが見つかり、手術を受けた後も闘病を続けながら仕事を続けていたそうです。
2025年7月には、東京・池袋の新文芸坐で行われた「公開50周年記念 トラック野郎・銀幕を駆ける一番星」のイベントに登壇し、作曲者の宇崎竜童さんと一緒に主題歌「一番星ブルース」を披露。これが最後の仕事になったと伝えられています。
50年前の代表作のイベントで、再びステージに立つ――その締めくくり方が、なんとも映画的で、美しいなと感じてしまいます。
「若いころの代表作」と「今の自分」が、同じ作品を介してゆるやかにつながる。その姿を目にしたファンは、胸がいっぱいになったんじゃないでしょうか。
一方で、純烈側も「いつか三度目の『純烈ジャー』を」と夢を見ていたタイミングでの訃報。
シリーズのファンとしては寂しさがありますが、「あの女神は、スクリーンの中ではずっと生きている」と思うと、改めて作品を見返したくなります。
今後は、配信サービスやCS放送、名画座の特集上映などで、中島さんの出演作が改めて注目される可能性も高そう。昭和の映画はちょっとハードル高い…という30〜40代の人でも、「トラック野郎」や「純烈ジャー」から入れば、思っているよりずっとライトに楽しめるはずです。
まとめ:
中島ゆたかさんは、昭和の邦画を彩ったマドンナであり、令和には「純烈ジャー」の青のオフロディーテとして、新しいファンを増やした女優さんでした。
闘病を続けながらもステージに立ち、最後まで女優であり続けた姿は、本当にかっこいい大人の女性そのもの。これからも「トラック野郎」や「純烈ジャー」、そして数々のドラマや映画の中で、そのまなざしや佇まいに会いに行きたくなります。
